
西ロンドンの小さな劇場でドラムを叩いていた少年が、やがて世界で最も愛される声の持ち主になるとは、誰が予想しただろうか――。
ジェネシスのドラマーという立場から、偶然のようにリードボーカルを引き継ぎ、やがてソロアーティストとして1億枚以上のアルバムを売り上げるまでに。「In the Air Tonight」の衝撃的なドラムブレイクが音楽シーンを震撼させ、「Another Day in Paradise」で社会問題に光を当て、「Against All Odds」で愛の切なさを歌い上げた。フィル・コリンズが40年以上にわたって築き上げた珠玉の名曲群は、ポップ、ロック、ソウルの境界を越えた普遍的な魅力を持っている。
ドラマーからシンガーへ、プログレッシブ・ロックからポップスターへ。その変遷の中で生み出された数々の名曲は、時代を超えて人々の心に響き続けている。喜びと悲しみ、愛と孤独、希望と挫折――。彼の音楽は人間の感情の全てを包み込み、聴く者の心に深く刻まれていく。
本記事では、そんな彼の輝かしいキャリアから厳選した21曲を、音楽史における重要性と感情的な深みの両面から紐解いていきます!
時代を象徴する不朽の代表曲
In the Air Tonight ~伝説のドラムブレイクが生んだ名曲
1981年1月、ソロデビューアルバム『フェイス・ヴァリュー』からのリード曲として発表された「In the Air Tonight」は、フィル・コリンズのソロキャリアを決定づけた伝説的な楽曲です。3分10秒過ぎに訪れる圧倒的なドラムブレイクは、音楽史上最も有名なドラムフィルの一つとして語り継がれています。
ゲート・リバーブという革新的なドラムサウンドを使用したこの楽曲は、全英チャートで2位、全米で19位を記録。暗く内省的な歌詞と緊張感あふれるサウンドの組み合わせは、「一度聴いたら忘れられない」という多くのファンの声が示すように、現在も世界中で愛され続けています。
Against All Odds ~映画を彩った究極のラブバラード
1984年3月、映画『カリブの熱い夜』の主題歌として発表された「Against All Odds」は、フィル・コリンズの歌唱力とソングライティング能力を世界に知らしめた傑作バラードです。失われた愛への切ない想いを歌ったこの曲は、ビルボードホット100で3週連続1位を獲得しました。
アカデミー歌曲賞にノミネートされ、グラミー賞では最優秀男性ポップ・ボーカル・パフォーマンス賞を受賞。現在でも結婚式やメモリアルイベントで使用される機会の多い、時代を超えたラブソングの金字塔として位置づけられています。
One More Night ~全米1位を獲得した珠玉のバラード
1985年1月リリースの「One More Night」は、シットリと深い情感を込めたバラードです。アルバム『ノー・ジャケット・リクワイアード』からのシングルとして発表されたこの曲は、ビルボードホット100で2週連続1位を記録し、フィル・コリンズのソロアーティストとしての地位を確固たるものにしました。
ドラムマシンとシンセサイザーを効果的に使用した80年代らしいプロダクションと、空高く突き抜けるように感情豊かなボーカルが見事にマッチした、黄金時代を代表する名曲です。
モジュレーションがかかったクリーントーンのギターアルペジオも美しすぎて泣ける!
Sussudio ~80年代のイケイケ(?)ポップスの決定版
1985年1月、『ノー・ジャケット・リクワイアード』からのリード曲として発表された「Sussudio」は、キャッチーでエネルギッシュなポップロックナンバーです。ホーンセクションとファンキーなベースラインが印象的なこの楽曲は、全米チャートで1位を獲得しました。
映画『アメリカン・サイコ』でも使用され、80年代カルチャーを象徴する楽曲として後世に語り継がれています。現在でもラジオで頻繁にオンエアされる、時代を超えたポップアンセムです。
Another Day in Paradise ~社会派メッセージを込めた問題作
1989年10月リリースの「Another Day in Paradise」は、ホームレス問題をテーマにした社会派バラードです。アルバム『バット・シリアスリー』からのリード曲として発表されたこの楽曲は、全世界15カ国以上のチャートで1位を獲得しました。
グラミー賞の最優秀レコード賞を受賞し、音楽を通じた社会問題への意識喚起という点で高く評価されています。サウンド的には、深い瑞々しさとリキッド感で深海まで潜っているような感覚にさせられる、フィル・コリンズらしさが思う存分に発揮された代表作の一つです。
グルーヴ感満載のアップテンポナンバー
Easy Lover ~フィリップ・ベイリーとの最強デュエット
1984年11月、アース・ウィンド&ファイアーのフィリップ・ベイリーとのデュエットで発表された「Easy Lover」は、ファンクとポップロックの完璧な融合を実現した楽曲です。キャッチーなリフとグルーヴ感あふれるリズムが印象的で、全英チャートで1位を獲得しました。
二人のボーカルの掛け合いが生み出すタイトなダイナミズムは、「何度聴いても飽きない」というファンの声が示すように、現在でも多くのリスナーを魅了し続けています。
You Can't Hurry Love ~シュープリームスの名曲を見事にカバー
1982年11月、モータウンの伝説的グループ、シュープリームスの1966年のヒット曲をカバーした「You Can't Hurry Love」は、フィル・コリンズ独自の解釈が光る作品です。オリジナルのソウルフルな雰囲気を保ちながら、80年代らしいプロダクションを施したこのバージョンは、全英チャートで1位を記録しました。
軽快なリズムとポジティブな歌詞が多くの人々を励まし、現在でもパーティーやイベントで愛される定番曲となっています。
Two Hearts ~映画とともに愛されるキャッチーな一曲
1988年7月、映画『バスター』のサウンドトラックからのシングルとして発表された「Two Hearts」は、ソウルフルなボーカルとアップビートなメロディが魅力的な楽曲です。全米チャートで1位を獲得し、グラミー賞も受賞しました。
映画のストーリーと見事にマッチしたこの楽曲は、「元気をもらえる」というファンの声が多数寄せられる、前向きなエネルギーに満ちた名曲です。
腹の底から絞り上げるような歌い方のフィル・コリンズもカッコいい!!
Something Happened on the Way to Heaven ~大人な魅力が光る傑作
1990年4月リリースの「Something Happened on the Way to Heaven」は、AORとファンクロックの要素を巧みに融合させた洗練された楽曲です。ホーンセクションとパーカッションが織りなす豊かなサウンドスケープが印象的で、全米チャートで4位を記録しました。
音楽的な成熟度の高さを示すこの楽曲は、フィル・コリンズの多彩な音楽性を象徴する重要な作品となっています。
個人的にフィルの楽曲で一番好きな曲♪
心の奥底に響く珠玉のバラード
I Wish It Would Rain Down ~エリック・クラプトンのギターが映える名曲
1990年1月、アルバム『バット・シリアスリー』からのシングルとして発表された「I Wish It Would Rain Down」は、エリック・クラプトンの感動的なギターソロがフィーチャーされた楽曲です。全米チャートで3位を記録し、パワフルなバラードとして高い評価を受けました。
雨をメタファーとして使った歌詞と、クラプトンの魂のこもったギタープレイが見事に調和した、ロックとポップスの架け橋となる傑作です。
If Leaving Me Is Easy ~失恋の痛みを歌った初期の名バラード
1981年4月、デビューアルバム『フェイス・ヴァリュー』からのシングルとして発表された「If Leaving Me Is Easy」は、離婚という個人的な経験から生まれた切ないバラードです。パッド系やソフトホーンが優しく包み込むアレンジに、フィルの心からのボーカルが重なります。
全英チャートで17位を記録したこの楽曲は、「涙なしには聴けない」というファンの声が印象的な、感情の深さが際立つ初期の傑作です。
Take Me Home ~故郷への想いを込めたポップバラード
1985年7月リリースの「Take Me Home」は、故郷への郷愁と帰属意識をテーマにしたポップバラードです。アルバム『ノー・ジャケット・リクワイアード』に収録されたこの楽曲は、全英チャートで19位、全米で7位を記録しました。
スティングとピーター・ガブリエルがバックボーカルで参加し、豊かなハーモニーが楽曲に深みを与えています。静かに、そして力強く、多くのリスナーの心に響く、普遍的なメッセージを持つ名曲です。
Do You Remember? ~過去への懐古を歌った優美なバラード
1990年4月、アルバム『バット・シリアスリー』からのシングルとして発表された「Do You Remember?」は、過ぎ去った時間と記憶をテーマにした叙情的なバラードです。クワイアコーラスとキラキラしたエレクトリックピアノが織りなす美しいアレンジが印象的で、全米チャートで4位を記録しました。
ノスタルジックな歌詞と温かいメロディが心に染み入る、「聴くたびに思い出が蘇る」というファンの声が多数寄せられる珠玉の名曲です。
Both Sides of the Story ~人間関係を描いた社会派ロックバラード
1993年10月リリースの「Both Sides of the Story」は、対立する視点の重要性を歌った思索的なロックバラードです。アルバム『ボス・サイズ・オブ・ザ・ストーリー』からのリード曲として発表されたこの楽曲は、より成熟した歌詞とサウンドで多くの批評家から高い評価を受けました。
人間関係や社会問題における多面性を描いたこの楽曲は、「深く考えさせられる」というファンの声が印象的な、深いメッセージ性を持つ作品です。
True Colors ~シンディ・ローパーの名曲を感動的にカバー
1998年リリースの「True Colors」は、シンディ・ローパーの名曲を新たな視点で解釈した感動的なバラードです。
フィル版はア・カペラや控えめなパーカッションを主体とした、よりスピリチュアルな仕上がり。彼の解釈力の高さが光る、心洗われる1曲ですね!原曲の良さを残しつつも、新しいサウンドデザインを大胆に取り込んでいく姿勢はまさしくアーティスト。
隠れた名曲と後期の傑作
Don't Lose My Number ~ストーリーテリングが光る佳曲
1985年5月リリースの「Don't Lose My Number」は、物語性のある歌詞とスピード感溢れるダイナミックなアレンジが印象的な楽曲です。アルバム『ノー・ジャケット・リクワイアード』に収録されたこの曲は、全米チャートで4位を記録しました。
ミステリアスな雰囲気とキャッチーなメロディが絶妙にバランスした、「隠れた名曲」としてファンから高い評価を受けている作品です。
Separate Lives ~マリリン・マーティンとの美しいデュエット
1985年10月、映画『ホワイトナイツ 白夜』の主題歌として、マリリン・マーティンとのデュエットで発表された「Separate Lives」は、切ない別れを歌った感動的なバラードです。全米チャートで1位を獲得し、アカデミー歌曲賞にもノミネートされました。
スティーヴン・ビショップが作曲したこの楽曲での、フィルとマリリンの心に染み入るハーモニーは、「涙が止まらない」というファンの声が印象的な名デュエットです。
Hang in Long Enough ~希望を歌った力強いメッセージソング
1990年10月リリースの「Hang in Long Enough」は、困難を乗り越える希望と忍耐を歌った前向きでストレートなロックナンバーです。アルバム『バット・シリアスリー』に収録されたこの楽曲は、パワフルなドラムとホーンセクションが印象的です。
「辛い時に聴くと勇気が湧く」というファンの声が多数寄せられる、励ましのメッセージに満ちた隠れた名曲です。
Dance into the Light ~晩年の傑作アップテンポナンバー
1996年10月、アルバム『ダンス・イントゥ・ザ・ライト』からのタイトル曲として発表された「Dance into the Light」は、アフリカ音楽の影響を受けた躍動感あふれる楽曲です。リズムを重視したアレンジとポジティブなメッセージが印象的で、全英チャートで9位を記録しました。
「生きる喜びが感じられる」というファンの声が示すように、晩年のフィル・コリンズの音楽的探求心を象徴する作品です。
You'll Be in My Heart ~ディズニー映画を彩った名曲
1999年6月、ディズニー映画『ターザン』の主題歌として発表された「You'll Be in My Heart」は、親子の愛を歌った温かいバラードです。アカデミー歌曲賞とゴールデングローブ賞を受賞し、全米チャートで21位を記録しました。
映画のテーマと完璧にマッチしたこの楽曲は、「子供と一緒に聴きたい」という親世代から絶大な支持を受け、ディズニーの名曲として後世に語り継がれています。
Can't Stop Loving You ~最後のヒットシングルとなった美しいバラード
2002年10月、アルバム『テストファイ』からのシングルとして発表された「Can't Stop Loving You」は、別れた後も続く愛を歌った感動的なバラードです。全英チャートで28位を記録し、フィル・コリンズのソロキャリア後期を代表する楽曲となりました。
オーガニックな印象の中で光る研ぎ澄まされた洗練さは、あらためて彼の歌唱力とソングライティング能力の円熟を感じさせる晩年の傑作です。
フィル・コリンズの名曲:まとめ
1951年、西ロンドンで生まれた少年が玩具のドラムを叩き始めた瞬間から、音楽史を変える壮大な物語が始まりました。
子役として舞台に立ち、プログレッシブ・ロックバンドのドラマーとなり、偶然のようにリードボーカルを引き継ぎ、やがて世界最大のポップスターへ。「In the Air Tonight」で時代を震撼させ、「Against All Odds」で映画音楽の新境地を開き、「Another Day in Paradise」で社会問題に光を当てました。パーティーを盛り上げる「Easy Lover」から心の奥底に響く「If Leaving Me Is Easy」まで、彼の音楽は常に誠実で、人々の心に真摯に向き合い続けてきました。
フィル・コリンズの真の魅力は、その卓越したドラムテクニックと歌唱力だけでなく、ジャンルの垣根を越えた音楽性の豊かさにあります。プログレッシブ・ロック、ポップス、ソウル、R&B、そしてジャズまで、多様な音楽要素を自在に操りながら、常に一般リスナーの心に届く楽曲を生み出し続けてきました。
愛と別れ、喜びと悲しみ、希望と挫折、そして社会への眼差し――。フィル・コリンズの楽曲は、私たちの人生の様々な場面に寄り添い、時には励まし、時には涙を誘い、時には考えさせてくれます。
1980年代を代表するアーティストとして、8度のグラミー賞、アカデミー賞、そしてロックの殿堂入りという栄誉に輝いたフィル・コリンズ。彼の音楽は世代を超えて受け継がれ、今なお新たなリスナーを魅了し続けています。2011年に一度引退を表明したものの、2017年には復帰を果たし、音楽への情熱を改めて示しました。
本記事で紹介した21曲が、あなたのフィル・コリンズ体験をより豊かなものにし、音楽が持つ普遍的な力を感じるきっかけとなることを心から願っています。彼の音楽とともに、あなたの人生にも新しい発見と感動が訪れることでしょう。




