90年代のブリティッシュミュージックシーンに突如として現れ、音楽界に新たな生命力を吹き込んだバンド、オアシス。
その名が示す通り、彼らの音楽は砂漠の中の生命の源のごとく乾いた心に潤いを与え、人々の魂を癒してきました。
マンチェスターの片隅から世界的な熱狂へと成長したオアシスの楽曲は、今もなお多くのリスナーの心を掴んで離しません。ノエルとリアム・ギャラガー兄弟の唯一無二の才能が生み出した旋律は世代を超えた共通言語となり、街角のパブから巨大スタジアムまで、オアシスの歌声は人々を結びつけ、共に歌い、共に感じる喜びを与えてくれます。
本記事では、そんなオアシスの魅力を存分に味わえる名曲の数々を、バラードからロックまで幅広く紹介します。彼らの楽曲に秘められた魔法の源泉を探りながら、あなたの人生のサウンドトラックにも新たなオアシスの1曲を加えていただけたら嬉しいです!
永遠に響く魂の叫び - オアシスの代表曲たち
Wonderwall
1995年にリリースされた「Wonderwall」は、オアシスの代名詞とも言える楽曲!
ノエル・ギャラガーが当時の婚約者に捧げたとされるこの曲は、アコースティックギターの印象的なイントロから始まり、リアムの歌い殴るような独特のヴォーカルが心に染み入ります。米国ビルボードチャートで8位を記録し、世界中でカバーされる名曲となりました。
楽曲構成とアレンジや歌詞、どれを取ってもOasisの中で最もフォーキーな部類の楽曲です。
Don't Look Back in Anger
同じく1995年の名曲「Don't Look Back in Anger」は、ノエル・ギャラガー自身がリードボーカルを務めた珍しい楽曲です。
ジョン・レノンへのオマージュが随所に感じられるこの曲は、UK シングルチャートで1位を獲得。後にマンチェスター同時多発テロ後の追悼集会で自然発生的に歌われ、癒しと団結の象徴となりました。
英国ロックのお手本のような神曲!
Whatever
1994年12月にシングルとしてリリースされた「Whatever」は、オアシスの初期の傑作の一つです。壮大なストリングスアレンジが特徴的なこの曲は、バンドの音楽性の幅広さを示しました。歌詞は自由と個性を讃えるメッセージを含んでおり、多くの若者の心に響きました。興味深いエピソードとして、この曲のメロディーの一部が Neil Innes の「How Sweet to Be an Idiot」に似ているとして、後に著作権問題が発生しました。しかし、この出来事もオアシスの名声を損なうことはありませんでした。
「Whatever」は UK シングルチャートで3位を記録し、オアシスの人気を不動のものとしました。今でもファンの間で高い人気を誇る一曲です。
トヨタ、アサヒ、ソニーなどのCMソングとしても起用されたため、日本のファンには特に馴染み深い曲のひとつ。
Live Forever
デビューアルバム「Definitely Maybe」に収録された「Live Forever」は、オアシスの音楽性やトータルサウンドの方向性を確立した重要な一曲です。
ノエルが母親への愛情を込めて書いたとされるこの曲は、彼らの楽観主義と不滅の精神を体現しています。NME誌の「最も偉大な曲」投票で1位に選ばれるなど、その影響力は計り知れません。
Champagne Supernova
オアシスの名盤「(What's the Story) Morning Glory?」のアルバムクロージングを飾る大作「Champagne Supernova」は、7分を超える壮大なロックアンセムです。幻想的な歌詞と徐々に高まるサウンドスケープは、オアシスの音楽性の幅広さを示しています。ポール・ウェラーがギターソロで参加したことでも知られています。
これらの楽曲は、オアシスの音楽的才能と90年代の時代精神を見事に捉えた傑作です。単なるポップソングを超えた普遍的なメッセージは、今もなお多くの人々の心に響き続けています。
ブーミーな質感をアクセントに盛り込んでおり、グランジ要素が強い一曲ですね!
心に染み入る音の滴 - オアシスが紡ぐ珠玉のバラード
Half the World Away
BBCのコメディドラマ「The Royle Family」のテーマ曲としても有名な「Half the World Away」は、オアシスの名バラードの一つ♪
1994年にリリースされたこの曲は、リビングでセッションしているようなシンプルな編成ながらもノエルの繊細な歌声と一言一言を大切に紡いでいる歌詞が特徴的で、バンドの多面的な才能を示しています。
Cast No Shadow
「(What's the Story) Morning Glory?」に収録された「Cast No Shadow」は、ザ・ヴァーヴのリチャード・アシュクロフトに捧げられた曲です。
語りかけるようなメロディーラインと深い洞察に満ちた歌詞は、オアシスの詩的な側面を際立たせています。アルバム収録曲ながら、ファンの間でもひときわ高い評価を得ています。
ドラムがオフ気味に収録されているので、独特の奥行き感を感じますね。
The Masterplan
当初はシングル「Wonderwall」のB面曲として発表された「The Masterplan」は、後にオアシスの代表的なバラードの一つとなりました。
壮大なストリングスアレンジと哲学的な歌詞が特徴的で、ノエル・ギャラガー自身が「最高の曲の一つ」と評する名曲です。
Stop Crying Your Heart Out
2002年のアルバム「Heathen Chemistry」からのシングルカット曲「Stop Crying Your Heart Out」は、オアシス後期の代表的なバラードです。
励ましのメッセージを込めたこの曲は、様々な困難な状況で人々の心の支えとなってきました。2002年のイングランドサッカー代表のワールドカップ敗退後に、BBCが試合のハイライト映像で使用したことでも知られています。
魂を揺さぶる轟音 - オアシスの真骨頂、ロックナンバー
Supersonic
オアシスのデビューシングルとして1994年4月にリリースされた「Supersonic」は、バンドの歴史に重要な一石を投じました。
ノエル・ギャラガーによれば、この曲は驚くべきことに僅か数時間で書き上げられたそうです。力強いギターリフと印象的な歌詞が特徴的な「Supersonic」はオアシスのサウンドの原点とも言える楽曲で、さらに日本人好みのキャッチーさも持ち合わせた曲です。
UK シングルチャートで31位を記録し、インディーズチャートでは1位を獲得しました。この成功により、オアシスは一躍注目のバンドとなり、後のブリットポップロックムーブメントの先駆けとなりました。
Rock 'n' Roll Star
デビューアルバム「Definitely Maybe」の幕開けを飾る「Rock 'n' Roll Star」は、オアシスの野望と自信を体現した曲です。
1994年のリリース当時、文字通りイギリスの音楽シーンに新たな風を吹き込んだ歴史的なロック曲!リアムの挑戦的で挑発的な歌声と切り裂くようなギターリフの組み合わせは、彼らのトレードマークとなりました。
これぞVOXアンプの雄叫び!というようなトレブリーなギターのディストーションサウンドも最高!
Cigarettes & Alcohol
同じく1994年にリリースされた「Cigarettes & Alcohol」は、T. Rex の「Get It On」を彷彿とさせるリフが印象的な楽曲です。
労働階級の若者の生活と欲望を赤裸々に描いたこの曲は、オアシスの社会的な側面を強く打ち出し、多くの共感を呼びました。
ドラムのチューニングもかなりヘビーでタイトになっており、ハードモッズ的なビートを聴く系の仕上がりですね。
Morning Glory
アルバム「(What's the Story) Morning Glory?」のタイトル曲である「Morning Glory」は、オアシスの攻撃的なロックサウンドの真髄を示す楽曲!
スピード感あふれるリズムと力強いギターサウンド、そしてリアムの伸びやかなヴォーカルが一体となって、聴く者を圧倒します。
どんな子も、思春期にコレ聴いたらブッ飛んで当たり前でしょう(笑)
D'You Know What I Mean?
1997年のアルバム「Be Here Now」のリードシングルとして発表された「D'You Know What I Mean?」は、オアシスの最盛期を象徴する大作です。
重層的なギターサウンド、そして謎めいた歌詞は、バンドの野心と自信の表れでした。発売と同時にUKチャート1位を獲得し、オアシス旋風の頂点を飾りました。
発掘!オアシスの隠れた名曲
Acquiesce
「Some Might Say」のB面曲として発表された「Acquiesce」は、多くのファンが「A面にすべきだった」と主張する名曲!
ノエルとリアム兄弟のヴォーカルの掛け合いが印象的なこの曲は、後にベストアルバム「Stop the Clocks」にも収録され、再評価されました。兄弟の絆を象徴する曲としても知られています。喧嘩してばかりですけどね(笑)
Talk Tonight
「Some Might Say」のもう一つのB面曲「Talk Tonight」は、オアシスの繊細な一面を見せるピュアなアコースティックバラードです。
ノエルがバンド解散の危機を乗り越えた経験から書いたとされるこの曲は、その個人的な背景もあって、多くのファンの心に深く刻まれています。
The Importance of Being Idle
2005年のアルバム「Don't Believe the Truth」からのシングルカット曲「The Importance of Being Idle」は、オスカー・ワイルドの戯曲のタイトルをもじった楽曲です。
キンクスを彷彿とさせるメロディと風刺的な歌詞が特徴的で、UKチャートで1位を獲得。ミュージックビデオには俳優のリス・イファンスが出演し、注目を集めました。ノスタルジックで変わり種なナンバーですが、ガチファンに根強い人気がある曲です。
Let's All Make Believe
「Go Let It Out」のB面曲として発表された「Let's All Make Believe」はオアシス後期の隠れた名曲の一つですが、好き嫌いがわかれる曲でもあります。
おどろおどろしさを感じるイントロに被さるメランコリックなメロディー、内省的な歌詞が特徴的で、バンドの成熟した一面を見せています。楽曲としても、かなりチャレンジングなことをやってのけましたね。
ノエル・ギャラガーは後年、この曲をアルバム「Standing on the Shoulder of Giants」に入れるべきだったと後悔していると語っています。
オアシス(Oasis)の名曲・代表曲:まとめ
オアシスの楽曲は、まるで壮大な交響曲のように様々な音色と感情を織り交ぜた豊かな表現で彩られています。
良い意味で、どこかしら「普通じゃない」「奇をてらった」さりげないエグみが、どの楽曲にも盛り込まれているのがオアシスらしさとも言えるでしょう。
彼らの代表曲たちは、90年代の熱狂を今に伝えるタイムカプセルであると同時に、時代を超えて人々の心に響く普遍的なメッセージを内包しています。「Wonderwall」や「Don't Look Back in Anger」といった楽曲は、まさに現代のフォークロアと呼ぶべき存在となり、世代を超えて歌い継がれています。
一方で、「The Masterplan」や「Cast No Shadow」のようなバラード曲は、オアシスの繊細な一面を垣間見せる宝石のような輝きを放つと同時に、日常の中に潜む美しさと感動を描き出し「詩」のように深く染み入ります。
そして、「Rock 'n' Roll Star」や「Cigarettes & Alcohol」に代表されるロックナンバーは、若さゆえの苦しさと反骨精神を力強く表現しています。これらの楽曲は、単なる音楽を超えて、一つの社会現象としてブリティッシュカルチャーにまで大きな影響を与えました。
20世紀末のイギリスという特定の時代と場所から生まれながらも、人間の普遍的な感情と経験を見事に捉え、今なお世界中の人々の心を揺さぶり続けているのです。
Oasisの名曲を聴くことは、単に過去を振り返ることではなく、私たち自身の感情と経験と成長を再発見し、音楽の持つ変革の力を再認識する機会となるのです。
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