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ロック

クイーン「メイド・イン・ヘヴン」:15枚目のアルバムを解説。収録曲とレビュー

「Made in Heaven QUEEN アルバム解説」と記載したアイキャッチ

クイーンの15枚目にして、フレディ・マーキュリーの死後にリリースされたオリジナルアルバム「Made in Heaven(メイド・イン・ヘヴン)」は、バンドの歴史の中でも唯一無二の番外編的な作品です。
※しかし、多くのファンがこのアルバムを他のアルバムと同様に「オリジナルアルバム」だと受け止めています。

このアルバムは、フレディの遺したボーカルとピアノのデモを基にメンバーがオーバーダブを重ねたり、各メンバーのソロ名義のアルバムに収録されていた楽曲を再録音するというプロセスで制作され、彼の死後もクイーンがその精神を引き継ぎ続けていることを世界に示しました。

発売後に世界的ヒットを記録し、今でもその存在感を増し続けているクイーンのラストアルバム「メイド・イン・ヘヴン」の制作背景、特色、そして各曲の詳細を解説していきます。

QUEEN 15枚目のアルバム「Made in Heaven(メイド・イン・ヘヴン)」概要

販売年月日: 1995年11月6日
収録曲数: 11曲(+隠しトラックが2曲)
売上枚数: 全世界で1000万枚以上
アルバムの特色: フレディ・マーキュリーの死後、残されたデモ音源を元に制作。フレディの生前の作品と新たに制作された楽曲が融合し、バンドの新たな章を築いた。
参加メンバー: フレディ・マーキュリー(ボーカル、ピアノ)、ブライアン・メイ(ギター)、ロジャー・テイラー(ドラムス)、ジョン・ディーコン(ベース)
プロデューサー: クイーン、デイヴィッド・リチャーズ(共同プロデューサー)
エンジニア: ジャスティン・シャーリー=スミス、ジョシュア・J・マクレア他
収録スタジオ: マウンテン・スタジオ、メトロポリス・スタジオ他
レーベル: Parlophone Records、Hollywood Records

収録曲:解説とレビュー

1. It's a Beautiful Day (イッツ・ア・ビューティフル・デイ)

  • 作詞作曲: クイーン

アルバムのオープニングトラック「It's a Beautiful Day」は、もともと弾き語りだったフレディ・マーキュリーのピアノとボーカルを全面に押し出す構成されており、彼の音楽への純粋な愛と情熱が感じられます。

生と死、そしてそれを越えた美しさについての思索を誘う。

目覚めのイメージから、天空へ舞い上がるような錯覚をもたらすアレンジ。
そのサウンドスケープはシンプルながら神聖な響きを持ち、聴く者に平和と穏やかな希望をもたらす不思議な力があります。

歌いまわしもストレートな表現で押し切るのではく、ここぞというところでブルーノートを交えて「コブシ」を効かせているところが良いフックになっている。
また、曲中のフレディーの「Yeah」という声は、本作の隠しトラック12曲目にひとつの楽曲扱いでも再登場します。

2. Made in Heaven (メイド・イン・ヘヴン)

  • 作詞作曲: フレディ・マーキュリー

タイトルトラック「Made in Heaven」は、フレディの生前に書かれ、後にクイーンによってアルバムのために再構築されました。

この曲は、天命や運命を受け入れることの大切さを歌っており、時系列を考えなければフレディが自分自身に向けて言い聞かせているようにも感じる。
もしかすると、フレディーはこの曲を出した85年には、天国を強く意識する「何か」が起きていたのではないかと思ってしまうほど。

この曲を100%歌い上げることが出来るのは、彼以外いないのですから。

3. Let Me Live (レット・ミー・リヴ)

  • 作詞作曲: クイーン

バンドの三人のメンバーがボーカルを分け合うゴスペル調の楽曲で、人生の困難を乗り越えることの重要性を強調しています。
バトン(マイク)を回しあいながら、それぞれの歌声を確かめ合うような演出に涙を抑えきれない。

徐々に厚みを増していくクラップ(手拍子)とコーラスが、絆と友情、そして共に歩むことの力を讃え合えることを祝福しているようだ。

4. Mother Love (マザー・ラヴ)

  • 作詞作曲: フレディ・マーキュリー、ブライアン・メイ

フレディ・マーキュリーが生前に録音した最後のボーカルをフィーチャーした「Mother Love」は、彼の遺作の中でも特別な意味を持つ曲です。フレディーの最後の声なのですから。

ブライアン・メイとの共作によるこの楽曲は、失われた愛、寂しさ、そして人生の終わりに対する深い思索を歌い上げています。
曲の終盤は、フレディの代わりにブライアン・メイがボーカルを担当しており、その切なさと美しさがリスナーの心を打ちます。

ギター・ソロも、か弱くて線の細い(おそらく、あえてピエゾピックアップ系の信号にコンプレッサーをガッツリかけて潰している)サウンドを選んであり、命の儚さを見事に描き出している。

5. My Life Has Been Saved (マイ・ライフ・ハズ・ビーン・セイヴド)

  • 作詞作曲: クイーン

元々は「The Miracle」セッション時に録音され、後に「Made in Heaven」で再編集された「My Life Has Been Saved」は、希望と再生をテーマにした楽曲です。

この曲は、人生の困難を乗り越えた後の感謝と安堵を表現しており、ソフトなメロディと温かいハーモニーが堪能できる一曲。
最小限の動きにとどめたベースラインと、さりげなく薄く敷かれているパッド系シンセが、なんともいえない爽やかさ!

6. I Was Born to Love You (ボーン・トゥ・ラヴ・ユー)

  • 作詞作曲: フレディ・マーキュリー

フレディ・マーキュリーのソロアルバム「Mr. Bad Guy」からの楽曲をクイーンが再録音した「I Was Born to Love You」は、愛することの歓びと情熱を爆発的に表現したトラックです。

ダイナミックなビートとキャッチーなメロディが特徴で、フレディのボーカルはこの上なく力強く魅力的です。
まるで目の前でクイーンが演奏してくれているような臨場感を感じる、上下左右に立体的なミックスダウンも完璧。

7. Heaven for Everyone (ヘヴン・フォー・エヴリワン)

  • 作詞作曲: ロジャー・テイラー

この楽曲は、元々ロジャー・テイラーがサイドプロジェクト「The Cross」のために書いた曲で、クイーン版ではフレディ・マーキュリーがボーカルを務めています。

歌詞は、平和と理解、そしてより良い世界に向けた希望を表現しており、アルバム全体のテーマである愛と希望を象徴する曲と言えるでしょう。

ひとつひとつの単語を、杭を打ち込むように力いっぱいに発するフレディー・マーキュリーの歌い方も特徴的だ。

8. Too Much Love Will Kill You (トゥー・マッチ・ラヴ・ウィル・キル・ユー)

  • 作詞作曲: ブライアン・メイ、フランク・ムスカー、エリザベス・ラムジー

ブライアン・メイの心からの告白のようなこの曲は、元々はブライアンのソロプロジェクトであった楽曲がクイーン版で新たな息吹を得て、フレディの歌声を通じてさらに感動的な作品に仕上がりました。

愛によってもたらされる喜びと痛みを等しく表現するこの曲は、多くのリスナーの心に響くメッセージを持っています。
イントロのエレピのフレーズだけで泣けそうな神曲のひとつですが、綿密に練り込まれたアレンジは鳥肌がたちっぱなしです。

メイのギター・ソロも、タメがたっぷり効いていてエモーショナルの極み!!
個人的にこのアルバムで一番好きな曲。

9. You Don't Fool Me (ユー・ドント・フール・ミー)

  • 作詞作曲: クイーン

フレディ・マーキュリーのデモボーカルから生まれたこの楽曲は、フレディが残した素材をバンドが編集し、彼の存在をアルバム全体に感じさせる一曲に仕上げました。

野生の民族を感じるダンスビートに乗せたフレディのボーカルは、彼の生き生きとしたエネルギーを感じさせます。
骨格のコード進行的にはかなりコンパクトな楽曲なのですが、その中でもとんでもない「広さ」を感じさせるアレンジ能力には脱帽です。

10. A Winter's Tale (ウィンターズ・テイル)

  • 作詞作曲: フレディ・マーキュリー

フレディ・マーキュリーの生前最後の作品の一つである「A Winter's Tale」は、彼が見た冬の景色を詩的に表現したバラードです。

スローな6/8拍子のゆったりとした流れの中で、彼の視点から見た動物や自然、そして季節の美しさを独自の美的観点で紡いでくれます。

11. It's a Beautiful Day (Reprise) (イッツ・ア・ビューティフル・デイ(リプライズ))

  • 作詞作曲: クイーン

アルバムの締めくくりを飾るこのリプライズバージョンは、オープニングトラックのテーマを再び取り上げ、アルバムの終わりに平和と希望のメッセージを添えます。

生命力に溢れた力強い「鼓動」を表現しているかのようなこのトラックは、フレディ・マーキュリーとクイーンの音楽が永遠に続くことを象徴しています。

12. Yeah (イェー) / 隠しトラック

  • 作詞作曲: クイーン

アルバムの中で最も短いトラックである「Yeah」は、実質的にはフレディ・マーキュリーの声で「Yeah」という一言のみを収録した楽曲です。

このトラックは、1曲目のIt's a Beautiful Day (イッツ・ア・ビューティフル・デイ)の楽曲中にも入っているもので、曲というより単なる音素材ではあるが、これがひとつのトラックとして書き出されていることには大きな意図があるのだろう。

「Yeah」が、喜びを表すのか、相づちなのか。このアルバムの文脈的には色んな解釈ができる。

13. 13(13) / 隠しトラック

  • 作詞作曲: クイーン

アルバムの最後を飾るこの「題名なし」(13 というナンバリングネームのみ)トラックは、22分以上の長さを持つアンビエント風のインストゥルメンタルです。

この楽曲は、フレディーの死後にバンドメンバーが彼を偲んで制作したもので、宇宙をふわふわ漂っているような静寂とトリップ感の中で、時折聞こえるフレディのボーカルフラグメントは、彼の不在を感じさせつつも、その意思と存在が永遠に続くことを示唆しています。

アルバムの締めくくりとして散りばめられた繊細な音の断片は、フレディの存在感を静かに感じさせ、クイーンとしての彼らの旅路を表現しているかのようです。

アルバムの特徴がわかる、レーダーチャート

QUEEN 15枚目のアルバム「Made in Heaven(メイド・イン・ヘヴン)」の特徴を示したレーダーチャート

アルバム・ジャケット

アルバムジャケットのデザイン

クイーンの15枚目のアルバム『Made in Heaven』のジャケットデザインは、バンドとリチャード・グレイが共同で手掛けたものです。

表紙には、フレディ・マーキュリーの像が特徴的に使用されています。
この像は、フレディが晩年を過ごしたスイス・モントルーの情景を捉えており、アルバムカバーはその美しい湖畔を背景に描いています。

表ジャケの写真は夕暮れ時に、裏ジャケの写真は夜明けにそれぞれ撮影され、フレディ・マーキュリーの像を中心に据えつつ、メンバーがアルプスを眺める様子を描いています。

アートワークの背景

『Made in Heaven』のジャケットアートワークは、フレディ・マーキュリーへの深い敬意を込めて制作されました。

スイス・モントルーに実際に存在するフレディ・マーキュリーの像を使用することで、彼の生涯とバンドの音楽的遺産を称えています。夕暮れと夜明けの情景を選んだことは、フレディの人生の終わりとともに新しい始まりを象徴しているかのようです。

チャート順位

英国でのチャート順位

『Made in Heaven』は英国で大成功を収め、アルバムチャートで1位に輝きました。このアルバムは、フレディ・マーキュリーの遺作としての意味合いもあり、英国のファンから特に熱い支持を受けました。

アメリカでのチャート順位

アメリカでは、『Made in Heaven』はBillboard 200で58位にランクインしました。アメリカ市場でのチャート成績は、英国ほどの高い順位ではありませんでしたが、クイーンの作品としては堅実な成績を示しました。

日本でのチャート順位

日本では、『Made in Heaven』がオリコンアルバムチャートで10位に達しました。日本のクイーンファンからも高い評価を受け、アルバムは発売後長期間にわたりチャートインし続けました。

世間の評価(評論家・ファンの評価)

評論家からの評価

『Made in Heaven』は音楽批評家から肯定的な評価を受けています。

AllMusicは、クイーンの最盛期への回帰と、アルバムが持つ生と死に関する深いテーマ性を大きく評価しました。Qマガジンは「詰め物なし、恥ずかしさなし」と評し、『Innuendo』よりも優れたアルバムであり、クイーンの最後の傑作としてふさわしいと評価しています。

ファンからの評価

『Made in Heaven』はファンからの熱い支持を受け、その評価は商業的な成功、シングルカット曲のヒット、そしてメディアでの楽曲採用にもつながっています。

商業的セールスの大成功: このアルバムは、世界中で大きな商業的成功を収めました。特に英国ではリリース直後にチャートのトップに立ち、多くの国でゴールドやプラチナ認定を受けるなど、売り上げ面で輝かしい記録を残しました。

シングルカット曲のヒット: アルバムからのシングルカット曲、特に「Heaven for Everyone」「You Don't Fool Me」「Let Me Live」などは、世界各国のチャートで高い順位を記録しました。これらの曲は、フレディ・マーキュリーの遺作としての特別な意味合いを持ちながら、広くファンに受け入れられました。

CM曲やテレビでの楽曲採用: 『Made in Heaven』の楽曲は、CMやテレビ番組で頻繁に使用されてクイーンそのものの認知を広げる役割も担いました。日本でもビールのCMソングやドラマの主題歌への採用などが記憶に新しいですね。

アルバム・タイトル

アルバムタイトルの意味

天国製: タイトルの直接的な意味「Made in Heaven」(天国製・天国で作られた)は、フレディ・マーキュリーの死と彼の遺産を象徴しています。フレディの歌声がこのアルバムを通して生き続けることで、まるで彼が天国からバンドとファンに最後の贈り物を送ったかのような印象を与えます。

完璧な調和: また、「Made in Heaven」という表現は、このアルバムがフレディ・マーキュリーとクイーンの音楽的な旅の集大成であり、彼らのキャリアの中で完璧な調和を達成した作品であることを示唆しています。アルバムに収録された楽曲は、バンドの持続的な影響力を調和を証明しています。

希望と再生のメッセージ: このタイトルは、死という終わりを乗り越えて希望と再生を見出すというメッセージを伝えています。フレディ・マーキュリーの遺作であるこのアルバムは、彼の音楽と精神が永遠に続くことをファンに約束し、クイーンの音楽が新しい世代にも受け継がれていくことを願っていると捉えられています。

クイーン 15枚目のアルバム「Made in Heaven」解説のまとめ

クイーンの15枚目にして最後のスタジオアルバム『Made in Heaven(メイド・イン・ヘヴン)』は、フレディ・マーキュリーの遺産を讃える作品として1995年にリリースされました。

このアルバムは、フレディの未発表ボーカルトラックとバンドメンバーの新たな録音を融合させた、感動的で意義深いプロジェクトです。
アルバムタイトル「Made in Heaven」は、フレディ・マーキュリーの音楽と精神が天国からも我々と共にあること、そして彼の死を乗り越えたバンドの音楽的な旅の完結を象徴しています。

皮肉にも、フレディ・マーキュリー亡き後にリリースされたこのアルバムは、クイーンのキャリアの中で最も成功した作品となり、全世界で1000万枚以上の壮大なセールスを記録しました。『Made in Heaven』は、バンドの歴史を締めくくるにふさわしい、希望と再生のメッセージを伝えるアルバムであり、クイーンの音楽が時代を超えて新しい世代にも受け継がれていくことを示しています。

アルバムジャケットのデザインは、フレディ・マーキュリーへの敬意を表すとともに、彼が晩年を過ごしたスイス・モントルーの美しい景色を捉えています。このジャケットは、フレディの不朽の遺産とクイーンの音楽が、まるで天国からのメッセージのようにファンに届けられることを象徴しています。

フレディ・マーキュリーの不滅の精神を称える作品として、音楽史における特別な地位を確立しているこのアルバムは、クイーンの音楽が今後も愛され続ける理由を再確認させてくれた奇跡の一枚です。

QUEENの全ディスコグラフィーも合わせてご覧ください。

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