フロリダ大学の研究によると、ビートルズやマイケル・ジャクソンと並んで最も音楽に影響を与えたアーティストとして名前が挙がるのが、プリンスです。
7つのグラミー賞、アカデミー賞を受賞し、8,000曲以上もの楽曲を書き上げた驚異的な天才音楽家。その驚異的な才能は、ギターの神様と称されるジミ・ヘンドリックスを彷彿とさせる卓越したギターテクニック、ジェームス・ブラウンばりのダイナミックなステージパフォーマンス、そしてデヴィッド・ボウイのような型破りな実験精神を併せ持っていました。
「Purple Rain」や「When Doves Cry」といった誰もが耳にしたことのある名曲を生み出したプリンスですが、40枚を超えるアルバムの数々から、どれを聴けば良いのか迷ってしまう方も多いはず。本記事では、プリンスの音楽の真髄に触れられる名盤TOP5と、初心者にぴったりなベストアルバムをご紹介します。これを読めば、あなたも立派なプリンス通になれる!?
プリンスの名盤TOP5
Purple Rain - 史上最高の音楽映画サントラ
1984年、プリンスは音楽と映画の歴史を塗り替えました。全米アルバムチャート24週連続1位、グラミー賞3部門受賞、世界売上2500万枚を記録した不朽の名作。
When Doves Cry、Let's Go Crazy、そして伝説の9分に及ぶタイトル曲Purple Rainは、ロック史に残る名演奏として今なお語り継がれています。レコーディング時、バンド「ザ・レボリューション」とともに、映画撮影と並行して楽曲制作を行うという異例の手法を取りました。ギターソロの轟音からシンセサイザーの繊細な音色まで、プリンスの天才的な音楽センスが結実した最高傑作です。
Sign o' the Times - 80年代ポップの集大成
1987年、2枚組の大作として発表。社会問題から恋愛まで、多彩なテーマを扱った野心的な作品。
If I Was Your Girlfriend、U Got the Look(シェリル・クロウとのデュエット)など、ファンク、ロック、ジャズ、ソウルを縦横無尽に行き来する革新的なサウンドが特徴。制作時、プリンスは自身のスタジオPaisley Parkに籠もり、ほぼすべての楽器を一人で演奏したと言われています。
ローリングストーン誌の歴代ベストアルバム500では、上位50位にランクインし続ける不朽の名盤。
1999 - エレクトロファンクを打ち立てた転換点
1982年、プリンスがメジャーブレイクを果たした記念碑的アルバム。
タイトル曲「1999」は、リンドラム(LM-2)とシンセサイザーが織りなす未来的なサウンドで、80年代のダンスミュージックの方向性を決定づけました。Little Red CorvetteやDeliriousといった名曲群は、MTV時代の先駆けとなる革新的なミュージックビデオとともに、新世代のポップスターとしてのプリンスの地位を確立。
世界的な評価を受け、後のヒップホップやハウスミュージックにも大きな影響を与えることに!
Parade - 芸術的野心と商業的成功を両立
1986年、映画「アンダー・ザ・チェリームーン」のサウンドトラック。
世界的ヒット曲「Kiss」を含む本作は、フランス的な洗練さとファンクの融合という斬新なコンセプトで話題に。Christopher Tracy's Paradeから Sometimes It Snows In Aprilまで、オーケストラアレンジとジャズの要素を取り入れた実験的な楽曲の数々は、プリンスの音楽的視野の広さを証明。
クレアー・フィッシャーとの共同編曲による優美なストリングスアレンジも特筆もの。
Dirty Mind - 80年代オルタナティブの先駆け
1980年、23歳のプリンスが世に放った衝撃作。When You Were Mine、Uptown、Headなど、セクシャルでプロボカティブな歌詞とミニマルなニューウェイブサウンドの組み合わせは、当時のミュージックシーンに衝撃を与えました。
ほぼすべての楽器を自身で演奏し、自宅スタジオで録音するという、後の「宅録の神様」と呼ばれる制作スタイルの原点となった作品。音楽評論家からは「R&Bとパンクの境界を破壊した」と絶賛され、ピッチフォークやNMEといった音楽メディアで、80年代の重要アルバムとして高く評価されています。
初心者向けベストアルバム
The Very Best of Prince - プリンスの黄金期を凝縮した決定版
2001年にワーナー・ブラザースから発売された、プリンスの代表的な楽曲を満喫できるベストアルバム。
1979年から1992年までの黄金期から、厳選された17曲を収録。When Doves Cry、Purple Rain、1999、Little Red Corvetteなど、誰もが一度は耳にしたヒット曲を完璧なリマスタリングで堪能できます。収録曲は年代順に配置され、プリンスの音楽性の変遷を自然に理解できる構成に。
さらに嬉しいのは、レアトラックRasberry Beretのシングルバージョンも収録されている点。プリンス入門に最適な一枚」として、全米アルバムチャートでも4位を記録。Amazon評価も4.8星と、新しいファンからも絶大な支持を得ています。
Ultimate - マニアも唸る充実の2枚組ベスト
2006年発売の豪華2枚組ベストアルバム。Disc 1には定番ヒット曲を、Disc 2には貴重な12インチバージョンやエクステンデッドミックスを収録という、入門者からコアファンまで満足できる構成が特徴。
特にDisc 2収録のLet's Go CrazyのSpecial Dance Mixや、Kiss の Extended Versionは、当時のダンスフロアの熱気を今に伝える貴重な音源として評価が高い。制作時、プリンス本人が選曲に関与し、各曲のリマスタリングも新たに実施。その徹底したこだわりは、BBCやローリングストーン誌から「アーティスト自身による最高のベストアルバム」と称賛されました。
また、豪華な解説ブックレットには、各楽曲にまつわるエピソードや制作秘話も満載。プリンスをより深く理解できる一枚です!
初心者向けプリンス入門
プリンスの魅力とは?
音楽史に名を刻む天才たちの中でも、プリンスの才能は特異な輝きを放っています。その魅力は大きく3つに分けられます。
第一に、驚異的な「マルチプレイヤー」としての才能。27種類もの楽器を完璧にこなし、多くのアルバムでほぼすべての楽器を一人で演奏。ジミ・ヘンドリックスを彷彿とさせるギターテクニック、繊細なピアノワーク、グルーヴ感あふれるベースライン、そして類まれな歌唱力まで、すべてを高次元で操りました。
第二に、ジャンルを超越した「音楽的革新性」。R&B、ファンク、ロック、ジャズ、エレクトロニカといった様々なジャンルを独自の解釈で融合。80年代には、シンセサイザーとドラムマシンを駆使した革新的なサウンドで、ポップミュージックの新しい時代を切り開きました。
第三に、比類なき「表現者」としての姿勢。性別や人種の境界を超え、時に挑発的な歌詞とパフォーマンスで社会に一石を投じる一方で、純粋な愛を歌った優しいバラードも生み出しました。その表現の幅広さは、デヴィッド・ボウイに比肩するとも評されています。
プリンスのアルバムの選び方
プリンスの膨大な作品群から、自分に合ったアルバムを選ぶポイントは以下の3つです:
- 音楽的志向による選択
- ロック志向:「Purple Rain」「Dirty Mind」
- ファンク/R&B志向:「1999」「Sign o' the Times」
- 実験的/アート志向:「Parade」「Lovesexy」
- 年代による選択
- 80年代前期:エネルギッシュで直接的な表現が特徴
- 80年代後期:より洗練された芸術性の追求
- 90年代以降:さらなる実験性と精神性の探求
- 入門者向けステップアップガイド
- Step1:ベストアルバムで全体像を掴む
- Step2:「Purple Rain」で黄金期の魅力を知る
- Step3:興味を持った時期や系統のアルバムを探索
プリンスのアルバム売上とその影響
プリンスの音楽的影響力は、セールス面でも顕著な実績として表れています。生涯で1億枚以上のレコードを売り上げ、特に「Purple Rain」は全世界で2500万枚という驚異的な数字を記録。ビルボード誌の調査では、デジタル音源の売上も含め、史上最も商業的に成功したソロアーティストの一人として認められています。
その影響は現代のアーティストたちにも色濃く残っています:
- ジャネット・ジャクソンやレディー・ガガは、その型破りな表現方法に影響を受けたと公言
- ザ・ウィークエンドやフランク・オーシャンは、プリンスのR&B革新性を現代に継承
- ブルーノ・マーズやファレル・ウィリアムスは、プリンスのファンク的要素を自身の音楽に取り入れ
また、2016年の突然の死後、スポティファイでの再生回数が4000%増加したという事実は、その音楽が世代を超えて愛され続けていることを示していますね!
MusicRadar誌の音楽プロデューサー100人への調査では、「最も影響を受けたアーティスト」として、ビートルズ、マイケル・ジャクソンに次ぐ3位にランクイン。その革新的なサウンドとプロデュース手法は、現代の音楽制作の基礎となっているのです。
まとめ:初心者がプリンス聴くなら、この名盤とベスト盤から!
40年以上の音楽キャリアで、20世紀の音楽史に革命を起こした芸術家として君臨し続けているプリンス。その膨大な作品群は、まさに現代のモーツァルトと呼ぶにふさわしい才能の結晶と言えるでしょう。
初めてプリンスの世界に踏み込むなら、以下のステップがおすすめです:
- まずはThe Very Best of Princeで、黄金期の代表曲を押さえる
- より深く掘り下げたい方はUltimate Princeで、レアトラックの魅力を探る
- 個別のアルバムなら、まずは不動の名作Purple Rainから着手
- その後、興味に応じて:
- ダンスミュージック好きなら「1999」
- 実験的な音楽が好みなら「Sign o' the Times」
- アート性を求めるなら「Parade」
- パンクな生エネルギーを求めるなら「Dirty Mind」
評論家アラン・ライトは「プリンスの音楽は、過去の遺産ではなく、未来への扉を開く鍵である」と評しました。実際、現代の音楽シーンを見渡しても、プリンスの影響を受けていないアーティストを見つけるほうが難しいほどです。
デジタル化が進む現代だからこそ、プリンスが追求した「人間味のある音楽」の価値は、より一層輝きを増しているのかもしれません。本記事で紹介したアルバムをきっかけに、あなたもプリンスの魅力を味わってみませんか?
この記事を読んだ後は、ぜひヘッドフォンを装着してプリンスの音楽に身を委ねてみてください。きっと、これまで体験したことがないような異次元の感覚に襲われるはずです!
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