エルトン・ジョンと聞いて、何を思い浮かべますか?
ロケットマンの異名を持つピアニスト、派手なコスチュームのショーマン、プリンセス・ダイアナへの追悼曲「キャンドル・イン・ザ・ウィンド」、あるいは映画『ライオン・キング』の「サークル・オブ・ライフ」でしょうか?
1947年生まれの彼は、60年代後半のデビューから現在まで、3億枚以上のレコードを売り上げ、グラミー賞、アカデミー賞、トニー賞など数々の栄誉に輝いてきました。ポップスとロックの黄金時代を代表するアーティストであり、その影響力は現代のミュージシャンたちにも及んでいます。
しかし、50年以上のキャリアで30枚以上のスタジオ・アルバムをリリースしている彼の音楽を、どこから聴き始めればいいのでしょうか? 今回は、エルトン・ジョンの音楽の世界への入り口として、厳選した名盤TOP3と、初心者にぴったりなベストアルバムをご紹介します。
エルトン・ジョンの名盤TOP3
Goodbye Yellow Brick Road - 70年代の金字塔、究極の2枚組
1973年、エルトン・ジョンは音楽の新境地を開拓しました。17日間という短期間で録音された本作は、ロック、グラム、ハードロック、バラード、レゲエまでを網羅する野心的な2枚組アルバム。タイトル曲「Goodbye Yellow Brick Road」は、オズの魔法使いをモチーフに、田舎少年が夢見たスターダムからの離脱を歌い、彼の代名詞となりました。
「Bennie and the Jets」のファンキーなピアノ、「Candle in the Wind」の心揺さぶるメロディ、「Saturday Night's Alright for Fighting」の荒々しいロックンロール。それぞれの楽曲が異なる表情を持ちながらも、完璧な統一感を保っているところが凄い!
本作は全米・全英チャート1位を獲得し、2003年にはローリング・ストーン誌の「歴史上最も偉大な500枚のアルバム」で91位にランクイン。批評家からは「70年代ポップミュージックの教科書」とまで称賛されました。これを聴かずして洋楽を語るなかれ!
Goodbye Yellow Brick Road の特徴
Captain Fantastic and the Brown Dirt Cowboy - 自伝的傑作
1975年発表の本作は、初週で全米1位を獲得した史上初のアルバム。エルトンとバーニー・トーピンの創作パートナーシップの始まりを綴った自伝的コンセプトアルバムです。
壮大なタイトル曲から、苦悩の日々を赤裸々に歌った「Someone Saved My Life Tonight」まで、全曲が濃密な物語性を持ちます。オーケストラやロックバンドの編成を巧みに使い分け、彼らの歩みを音で表現した意欲作といえるでしょう。
当時のローリング・ストーン誌は「音楽史に残る傑作」と絶賛。後のミュージシャンたちにも大きな影響を与え、現在も高い評価を受け続けています。
Captain Fantastic and the Brown Dirt Cowboy の特徴
Honky Château - ロケットマン誕生、新たな挑戦の始まり
1972年、フランスのシャトー・デルジャン城で録音された革新的アルバム。宇宙飛行士に着想を得た「Rocket Man」は、デヴィッド・ボウイの「Space Oddity」と並び、スペース・フォークの代表曲となりました。
「Honky Cat」のニューオーリンズ・ジャズ風サウンド、「Mona Lisas and Mad Hatters」の繊細なフォーク調など、従来のピアノロックの枠を超えた実験的な要素が特徴。エルトンの音楽性の幅を大きく広げた転換点となった一枚!
レコーディングはわずか4日間で完了。バンドメンバーとの即興的なセッションから生まれた自然な演奏は、多くのミュージシャンに影響を与え、現代でも色褪せない輝きを放っています。チャレンジングな姿勢とミュージシャンシップが素敵です♪
Honky Château の特徴
初心者向けベストアルバム
Greatest Hits - 70年代の黄金期を完全網羅
1974年にリリースされた本作は、エルトン・ジョンの最も成功したベストアルバムの一つです。1970年から1974年までの輝かしい黄金期から、厳選された11曲を収録。「Your Song」「Rocket Man」「Goodbye Yellow Brick Road」など、今なお色褪せることのない名曲の数々が詰まっています。
特筆すべきは、シングルバージョンではなく、アルバムバージョンを採用している点。これにより、エルトンの真髄である楽曲の壮大さや演奏の妙が余すことなく伝わってきます。全世界で2,400万枚以上を売り上げ、英国では史上最も売れたアルバムの一つとして記録されています。
初めてエルトン・ジョンの音楽に触れる方には、まさに理想的な1枚。70年代前半の彼の音楽性を完璧に理解できる、まさに入門の決定版と言えるでしょう。
Diamonds - 50年の軌跡を辿る究極のベスト盤
2017年に発表された本作は、エルトンの50年以上のキャリアを網羅した究極のコレクション。初期の「Your Song」から、2016年発表の「Looking Up」まで、時代を超えて愛され続ける名曲34曲(デラックス版は51曲)を収録しています。
特徴的なのは、クロノロジカルな曲順で構成されている点。70年代のグラムロック期、80年代のポップス路線、90年代以降のバラード志向まで、エルトンの音楽的進化を時系列で体感できます。「I'm Still Standing」「Can You Feel the Love Tonight」「Sacrifice」など、様々な時代の代表曲をバランスよく収録。
デジタルリマスタリングによって音質も現代的にアップデートされ、新世代のリスナーにも親しみやすい仕上がりとなっています。キャリアの集大成として完璧といえる、現代における決定的なベストアルバム!
初心者向けエルトン・ジョン入門
エルトン・ジョンの魅力とは?
半世紀以上にわたって音楽シーンを牽引してきたエルトン・ジョンの魅力は、大きく3つに集約されます。
まず、卓越したピアノの演奏力と作曲センス。クラシックの素養を活かしたメロディアスな楽曲は、ロック、ポップス、バラードなど、ジャンルを超えて聴く人の心を掴みます。
次に、作詞家バーニー・トーピンとの黄金コンビネーション。1967年の出会い以来、二人三脚で紡いできた詩的な歌詞は、時代を超えて多くの人々の共感を呼んでいます。
そして、誰もが認める圧倒的なライブパフォーマンス。派手なコスチュームと情熱的なステージングは、彼のトレードマークとして世界中のファンを魅了し続けています。
エルトン・ジョンのアルバムの選び方
初めてエルトン・ジョンの音楽に触れる方には、以下の3つのアプローチをお勧めします。
- 年代で選ぶ
- 70年代:グラムロックとピアノロックの黄金期
- 80年代:ポップスとバラードを融合した成熟期
- 90年代以降:円熟味を増した名匠期
- ジャンルで選ぶ
- ロック志向:『Madman Across the Water』『Rock of the Westies』
- バラード中心:『Blue Moves』『The One』
- ポップス系:『Too Low for Zero』『Reg Strikes Back』
- テーマで選ぶ
- 映画音楽:『The Lion King』『Rocketman』
- ライブアルバム:『Here and There』『Live in Australia』
- コラボレーション:『Duets』シリーズ
エルトン・ジョンのアルバム売上とその影響
エルトン・ジョンの音楽的影響力は、その驚異的なセールス記録からも明らかです。全世界でのアルバム売上は3億枚以上を記録し、シングル「Candle in the Wind 1997」は3,300万枚を超える史上最大のヒット作となりました。
しかし、その影響力は数字だけにとどまりません。彼の音楽は、ビリー・ジョエル、レディー・ガガ、エド・シーランなど、世代を超えて多くのアーティストや著名人にもインスピレーションを与えています。
また、音楽界のみならず、社会活動家としても大きな影響力を持っています。エイズ撲滅のためのチャリティ活動や、LGBTQの権利擁護など、その活動は音楽の枠を超えて、社会に大きなインパクトを与え続けていることも忘れてはいけません。
グラミー賞やアカデミー賞など数々の栄誉に輝き、2023年にはロックの殿堂入りを果たすなど、その功績は音楽史に永遠に刻まれることでしょう。
まとめ:初心者がエルトン・ジョン聴くなら、この名盤とベスト盤から!
50年以上のキャリアと30枚を超えるスタジオアルバム。その膨大な作品群から、どこから聴き始めるべきか、ここで整理してみましょう。
まずはこのベストアルバムから
- 70年代を完璧に網羅した『Greatest Hits』
- 50年の軌跡を辿る『Diamonds』
これらのベストアルバムで、エルトン・ジョンの音楽性の全体像を掴んでください。そして、特に心に響いた楽曲のオリジナルアルバムへと進むのがおすすめです。
次に聴きたい名盤TOP3
- 『Goodbye Yellow Brick Road』:70年代ロックの教科書的存在
- 『Captain Fantastic』:自伝的な物語が心を打つ傑作
- 『Honky Château』:実験精神に満ちた革新的アルバム
これらの作品を通じて、エルトン・ジョンの音楽は、単なる娯楽を超えた芸術であることを実感できるはずです。華やかなショーマンの姿の奥に潜む、真摯な音楽家としての本質が見えてくるでしょう。
この記事が、あなたのエルトン・ジョン探索の道標となれば幸いです。さあ、早速あなただけのロケットマンを探しに出発です!
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