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ロック

クイーン「戦慄の王女」:1枚目のアルバムを解説。収録曲とレビュー

「戦慄の王女 QUEEN アルバム解説」と記載したアイキャッチ


クイーンのデビューアルバム「Queen - 戦慄の王女」は、1973年にリリースされた彼らの音楽キャリアの幕開けを告げる作品です。

このアルバムは、ロック史に残る伝説的バンドの第一歩を記録したものであり、その後の音楽業界に与えた影響は計り知れません。
この重要なアルバムの概要や特徴の解説と、収録曲のレビューを通してクイーンの魅力を再発見していただければと思います。

QUEENのファーストアルバム「戦慄の王女」概要

販売年月日: 1973年7月13日
収録曲数: 全10曲
売上枚数: 250万枚以上
アルバムの特色: 初期クイーンの音楽性を象徴する作品で、ハードロック、プログレッシブロック、そして彼ら独自のハーモニーが融合した楽曲が収録されている。ファーストアルバムらしい衝動性やエッジーさも感じられる。
参加メンバー: フレディ・マーキュリー、ブライアン・メイ、ロジャー・テイラー、ジョン・ディーコン
プロデューサー: ロイ・トーマス・ベイカー、ジョン・アンソニー、クイーン
エンジニア: マイク・ストーン、テッド・シャープ
収録スタジオ: トライデント・スタジオ、デ・レイン・リー・ミュージック・センター
レーベル: EMI Records、Elektra Records

収録曲:解説とレビュー

1.「Keep Yourself Alive」- 炎のロックン・ロール

作詞作曲: ブライアン・メイ

クイーンのデビューシングルであり、この楽曲は後に彼らのトレードマークとなるエネルギッシュなギターワークとダイナミックなボーカルスタイルを初めて聴くことができる作品です。

ブライアン・メイの卓越したギターソロと、フレディ・マーキュリーの力強い声が見事に融合し、生きることの喜びと葛藤をテーマにした歌詞が、聴く者に強烈な印象を与えます。

2.「Doing All Right」- ドゥーイング・オール・ライト

作詞作曲: ブライアン・メイ、ティム・スタッフェル

この曲は、バンドがまだ「Smile」という名前で活動していた時代からのもので、後にクイーンのデビューアルバムで再録音されました。
穏やかなピアノイントロから始まり、次第にエネルギッシュなロックサウンドへと変わっていく構成は、バンドの音楽的幅広さを示す素晴らしい例です。ブライアン・メイの心温まるギタープレイと、フレディの感情豊かなボーカルが印象的です。

3.「Great King Rat」- グレート・キング・ラット

作詞作曲: フレディ・マーキュリー

フレディ・マーキュリーが手がけたこの曲は、複雑な構成と独特の歌詞が特徴の一曲です。
社会批判の要素を含む歌詞と、クラシック音楽を思わせるドラマチックな展開は、フレディの作曲家としての才能を如何なく発揮しています。

クイーンの多様な音楽性と実験的な精神を初期から示している作品でもあります。

4.「My Fairy King」- マイ・フェアリー・キング

作詞作曲: フレディ・マーキュリー

フレディ・マーキュリーの幻想的な世界観が展開されるこの曲は、彼の豊かな想像力と独特の歌詞の才能が光る楽曲です。
ピアノを中心としたアレンジメントと、壮大なコーラスワークが、まるでおとぎ話を聴いているような幻想的な雰囲気を醸し出しています。

また、この曲はフレディが歌詞内で「Mercury」という名を初めて使用し、バンド名「Queen」にも繋がる重要な楽曲です。

5.「Liar」- ライアー

作詞作曲: フレディ・マーキュリー

フレディ・マーキュリーによって書かれたこの楽曲は、強烈なギターリフと力強いボーカルパフォーマンスが印象的なハードロックの名作です。欺瞞に対する激しい非難と自己反省がテーマとなっており、クイーンの初期のダイナミズムと攻撃性を感じさせる楽曲です。

その複雑な構成と変化に富んだアレンジは、後のクイーンの音楽スタイルを予感させます。

6.「The Night Comes Down」- ザ・ナイト・カムズ・ダウン

作詞作曲: ブライアン・メイ

ブライアン・メイが青春期の夏の夜にインスパイアされて作曲したこの曲は、メロディックなギターリフと優しいボーカルが魅力的です。クイーンとしては珍しいアコギパートがしっかり入っている曲のひとつ。

純粋なアコースティックギターのサウンドに包まれるアレンジも良いですね。
曲は、夕暮れ時の哀愁と穏やかさを感じさせ、リスナーをメランコリックな気分に誘います。トラックはクイーンの多様性を示すと同時に、バンドが持つ繊細な感性を浮き彫りにしています。

7.「Modern Times Rock 'n' Roll」- モダン・タイムズ・ロックンロール

作詞作曲: ロジャー・テイラー

この楽曲はロジャー・テイラーの作で、彼がリードボーカルを務めます。速いテンポとエネルギッシュな演奏が特徴で、70年代のロックンロールへのオマージュとも言える作品です。

テイラーのパワフルなドラムプレイが際立ち、クイーンのライブパフォーマンスでの勢いとエネルギーを録音したかのような熱量を持っています。

8.「Son and Daughter」- サン・アンド・ドーター

作詞作曲: ブライアン・メイ

ブライアン・メイの重く響くギターリフから始まる「Son and Daughter」は、ハードロックの要素が強い曲です。メイのギターソロは、彼のテクニカルなスキルと創造性が光る部分であり、クイーンの音楽における重要な役割を担っています。

歌詞では、男女間の関係や社会的役割について探求しており、そのメッセージ性も聴き手に強い印象を与えます。
全体のサウンドも、QUEENの楽曲の中でも最上級にヘビーな1曲。

9.「Jesus」- ジーザス

作詞作曲: フレディ・マーキュリー

フレディ・マーキュリーによるこの楽曲は、宗教的なイメージと物語性を持ち合わせています。
どこか儀式的な意味を感じるイントロが印象的で、フレディのボーカルと合唱のハーモニーが曲に神聖な雰囲気をもたらします。

クイーンが宗教や神話をテーマにした楽曲を手がけることは珍しくありませんが、「Jesus」はその初期の試みの一つとして位置づけられます。

10.「Seven Seas of Rhye...」- 輝ける7つの海

作詞作曲: フレディ・マーキュリー

アルバムの締めくくりを飾るこの楽曲は、インストゥルメンタルの短いフラグメントでありながら、後に「Queen II」でフルバージョンが発表されることになる曲の序章を成しています。

幻想的で壮大な旋律は、クイーンの音楽がこれから向かう方向性を予感させ、聴き手の想像力をかき立てます。

アルバムの特徴がわかる、レーダーチャート

クイーンのアルバム『戦慄の王女』の特徴がわかるレーダーチャート

アルバム・ジャケット

アルバム『Queen – 戦慄の王女』のジャケットは、フレディ・マーキュリー、ブライアン・メイ、そして友人ダグラス・パディフットによる共同作業で、フレディがステージでスポットライトを浴びる様子を捉えたものです。

撮影はパディフットが行い、このシンプルながらも印象的なビジュアルは、バンドの強烈なステージパフォーマンスとフレディのカリスマを象徴しています。

「俺たちはライブステージでこそ最も輝けるロックバンドだ!」という強い意思表示とも感じられますね。
アイドル扱いされないために先手で印象付けしたかったのかも知れません。

また、アルバム表のバンドロゴは、フレディー・マーキュリーがデザインを担当しています。

チャート順位

日本:オリコンアルバムチャートで最高位52位
イギリス:UKアルバムチャートで最高位24位(1975-1976年にリリースされた際)
アメリカ:ビルボード200で最高位83位

イギリスでの成績

イギリスでは、『Queen – 戦慄の王女』は当初大きなチャートアクションを見せませんでしたが、時間が経つにつれて徐々に認知されるようになりました。最終的には、1975-1976年にかけてUKアルバムチャートで最高位24位に達しました。

この時期には、バンドが『Bohemian Rhapsody』を含む『A Night at the Opera』で大きな成功を収めており、その波に乗って過去のアルバムも再評価されたと考えられます。リリース直後よりも後の時点での方が高いチャートポジションを記録していることから、クイーンの音楽が時を経て評価された好例です。

アメリカでの成績

アメリカでは、アルバムはビルボード200で最高位83位となりました。この成績は、イギリスやその他の市場での成功と比較すると控えめなものでしたが、デビューアルバムとしては決して失敗ではありません。

アメリカ市場での成功は後に訪れることになり、ファーストアルバムのリリースはその基盤を築く一歩となりました。アメリカでのクイーンの音楽は、特に1970年代後半にかけてより広く受け入れられるようになりました。

日本での成績

日本では「Queen – 戦慄の王女」はオリコンアルバムチャートで最高位52位を記録しました。日本市場では、クイーンは熱狂的なファンベースを早期から確立しており、このアルバムを含めた彼らの作品はコンスタントに良好なセールスを記録しました。

日本では、特にライブパフォーマンスが高く評価され、クイーンの来日公演は常に大きな注目を集めました。デビューアルバムが50位台というのは、後の成功を予見させるものでした。日本人の国民性とクイーンの様式美の相性はバッチリですからね。

総合的な見方

デビューアルバムのチャート成績を通じて、バンドの初期のキャリアは地道なスタートから徐々に勢いを増していったことが見て取れます。

特に、イギリスと日本では、デビュー作から一定の成功を収めており、アメリカにおいても時間をかけてその地位を確立していきました。
これらのチャート成績は、後のアルバム『A Night at the Opera』や『News of the World』が世界的な大ヒットを記録する基盤となり、クイーンが1970年代から1980年代にかけてロック界で圧倒的な地位を築く過程の初期段階を示しています。

世間の評価(評論家・ファンの評価)

評論家からの評価

当時の音楽評論家からは、『Queen』は一般的にポジティブな評価を受けましたが、その革新性や将来性に注目する声と共に、いくつかの批判的な意見も存在しました。
アルバムはハードロック、プログレッシブロック、そしてヘビーメタルの要素を巧みに融合させていると評価され、特にブライアン・メイのギターワークとフレディ・マーキュリーのボーカルパフォーマンスが高く評価されました。

しかし、一部の批評家は、バンドがまだ自身の音楽的アイデンティティを完全には確立していないとの指摘もしています。

後年の評価では、『Queen』はしばしばクイーンのディスコグラフィーの中で重要な位置を占める作品として認識され、バンドの創造的なポテンシャルと音楽的多様性を示した初期作品として高く評価されています。

音楽ジャーナリストや歴史家は、このアルバムをクイーンの長いキャリアの中での重要な出発点とみなし、その後の成功につながる重要なステップとしています。

音楽業界での評価

このアルバムは、後に音楽業界から様々な形で評価されました。

例えば、ギタリスト雑誌は1994年に『Queen』を「史上最も影響力のあるギターアルバム」の一つと評価しました。また、『Rolling Stone』誌は「Keep Yourself Alive」を「史上最も偉大なギターソング」の一つとして挙げるなど、特定の楽曲は高い評価を受けています。

ファンからの評価

クイーンのファンからは、『Queen』は特に愛されているアルバムの一つです。このアルバムに含まれる楽曲、特に「Keep Yourself Alive」や「Liar」などは、ライブパフォーマンスでも頻繁に演奏され、ファンからの強い支持を受けています。

多くのファンは、このアルバムが示すバンドの原動力と実験精神を高く評価しており、クイーン伝説の始まりとして特別な意味を持っていると見なしています。

総合評価

全体としては音楽的な実験と革新性に満ちた作品として、時間が経つにつれてその価値が再評価されてきました。

このアルバムはクイーンが後に展開する多様な音楽スタイルの萌芽を含んでおり、その創造性と実験精神は後の作品においても引き継がれています。評論家とファンの両方からの長期にわたる支持を受け、クイーンのディスコグラフィーの中でも特に重要な地位を確立しています。

アルバム・タイトル

クイーンのデビューアルバム『Queen』のタイトルは、シンプルでありながらバンド名そのものを冠することで、バンドのアイデンティティと音楽的な方向性を明確に示しています。

このアルバムは1973年にリリースされ、バンドのキャリアの出発点となりました。
アルバムタイトルにバンド名をそのまま使用することは、多くのアーティストやバンドがデビュー作で行う一般的な手法の一つであり、そのバンドの存在を聴衆に印象づける目的があります。

洋題:『Queen』

洋題の『Queen』は、単純にバンド名をアルバムタイトルとして採用しています。

これはバンドの認知度を高めると同時に、彼らの音楽的なアイデンティティを確立する意図があると考えられます。
クイーンはその後、様々な音楽ジャンルを探求し、革新的なサウンドと派手なパフォーマンスで知られるようになりましたが、この初期の段階から彼らの野心と多様性を示唆していると言えるでしょう。

なぜ邦題は『戦慄の王女』?

クイーンのデビューアルバムの邦題「戦慄の王女」は、原題『Queen』を直訳すれば「女王」となるはずですが、日本でのリリース時に「王女」という言葉が選ばれました。

この選択については、当時のレコード会社の担当者が「雰囲気で『女王』の使用を避けた」と説明しています。このようなタイトルの変更は、アルバムのイメージや内容を日本の聴衆にとってより魅力的に伝えるため、または文化的なニュアンスを考慮して行われることがあります。

私も仕事柄、生き字引き的な当時の業界事情を知るプロデューサーさんにお話を伺う機会があるのですが、当時外国のバンドやアーティストの作品の邦題は、担当者がノリと言葉の響きで付けていることが多かったようです。
カッコいい!センスいい!のもたくさんありますが、たまに謎が多い邦題や、よくよく考えたら面白い邦題もいっぱいあるんですよね。

「戦慄の王女」という邦題は、クイーンの音楽が持つドラマティックで時には神秘的、挑戦的な雰囲気を表現しているとも言えるでしょう。
バンド名「Queen」が持つ様々な意味合いやイメージを、「戦慄」という言葉を通して強調し、より物語性やインパクトを持たせたタイトルとなっています。

これは、クイーンのデビューアルバムが音楽シーンに投げかけた新たな挑戦と、その後の彼らの音楽への期待感を高めてくれて、フレーズとしても頭に残りやすいし、とてもナイスネーミングですね。

クイーン「戦慄の王女」アルバム解説のまとめ

クイーンのデビューアルバム「Queen」(邦題:戦慄の王女)は、彼らの音楽的才能と革新性を世界に初めて示した記念碑的な作品です。

英国でのチャート成功を収めたこのアルバムは、クイーンの長い旅の始まりを告げ、後の世代に大きな影響を与えました。
クイーンのファンであれば必聴の作品であり、音楽史における彼らの重要性を再確認する機会を与えてくれる、ある意味で永遠にフレッシュな作品だと言えるでしょう。

クイーンの全アルバムを解説した記事も、合わせてご覧ください。

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