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ロック

クイーン「ザ・ミラクル」:13枚目のアルバムを解説。収録曲とレビュー

「ザ・ミラクル QUEEN アルバム解説」と記載したアイキャッチ

クイーンの13枚目のオリジナルアルバム「The Miracle(ザ・ミラクル)」は、1989年にリリースされた作品で、バンドの復活とも言える重要なアルバムです。

このアルバムは、前作「A Kind of Magic」以降、メンバー間の結束を深め、創作活動において新たな高みを目指した結果として生まれました。

本記事では、アルバムの基本情報から収録曲、受賞歴、世間の評価、そしてアルバムタイトルの意味までを詳細に解説し、クイーンファンならずとも音楽を愛するすべての人々に向けたガイドとなることを願います。

QUEEN 13枚目のアルバム「The Miracle(ザ・ミラクル)」概要

販売年月日: 1989年5月22日
収録曲数: 10曲
売上枚数: 全世界で約500万枚
アルバムの特色: クイーンのメンバー全員が健在であり、創作活動においても個々の才能を存分に発揮している。バンドとしての結束力が際立った作品。
参加メンバー: フレディ・マーキュリー(ボーカル)、ブライアン・メイ(ギター)、ロジャー・テイラー(ドラムス)、ジョン・ディーコン(ベース)
プロデューサー: クイーン、デイヴィッド・リチャーズ
エンジニア: キース・コーエン、ケビン・メトカーフ、デイヴィッド・リチャーズ
収録スタジオ: The Town House、Mountain Studios
レーベル: Parlophone Records、Capitol Records

特別エディションやリマスター版については、2011年にリリースされたリマスター版があり、未発表曲やデモ音源が収録されたディスクが付属しています。

収録曲:解説とレビュー

1. Party (パーティー)

  • 作詞作曲: クイーン

「Party」はアルバムを再生したリスナーを即座にクイーンの世界へと引き込むエントリー曲です。

イントロでは、オールディーズポップスのような曲か!?と思わせるものの、凝ったサウンドエフェクトとギミックが巧みに用いられて賑やかされていくアレンジにハッとする。

表面上は軽快なパーティーソングのように聞こえるが、一時バラバラになりかけたバンドの結束と再生のテーマを象徴している。
2分ちょっとの短い尺で、曲終わりもスパッとカットアウトされる処理が施されており、間髪入れず2曲目へ入る「仕掛け」が完璧。

2. Khashoggi's Ship (カショーギの船)

  • 作詞作曲: クイーン

豪華客船をモチーフにした「Khashoggi's Ship」は、華やかさと皮肉が同居する独特の楽曲。
クイーンはこの曲で、着飾った豪華さの背後にある虚無感を探求している。

サウンドとしては、スタジオ系ロックとライトファンクが融合したサウンド。
特にブライアン・メイのデチューン(ピッチシフト系のエフェクター)を深めに掛けたサウンドのギターリフと、ロジャー・テイラーのタイトにチューニングされたドラムが、この曲の骨格を形成。

高揚感と瞑想的な気分のバランスを見事に保っている。

3. The Miracle (ザ・ミラクル)

  • 作詞作曲: クイーン

アルバムタイトルと同名の「The Miracle」は、人類の偉業と奇跡を称賛する壮大な楽曲。

このトラックでは、フレディの力強いボーカルパフォーマンスと洗練されたバンドアンサンブルが光る。
そして、「Miracle〜♪」の部分で鳴らされるハープの音色が、「奇跡がおこる瞬間」を表しているようだ。

人類の達成可能性への楽観的な見方が、リスナーに強烈な感動を与える。

4. I Want It All (アイ・ウォント・イット・オール)

  • 作詞作曲: クイーン

熱い情熱と強烈な意志を歌ったロックアンセム。

ブライアン・メイの竜巻のようなギターリフが曲全体を支配し、フレディのシャウトがその熱意を倍増させる。
目標に向かって真っ直ぐに突き進む決意と、夢を追い求める勇気を力強く表現しており、リスナーにエネルギーを注入する。

かなり長めのギター・ソロ部分も、ミックスでパンニングを左右に大胆に回す処理がなされており、まったく冗長に感じない。
クイーンファン以外にも人気が高い一曲。

5. The Invisible Man (インヴィジブル・マン)

  • 作詞作曲: クイーン

「The Invisible Man」は、キャッチーでリズミカルなサウンドが特徴のトラック。

歌詞には遊び心があり、バンドメンバーの名前が隠されている。
この曲は、バンドの技術的な実験も兼ねており、メロディーやコードというよりは「素材のピース」を組み合わせと掛け合わせでどんな面白みが出せるか?という試みが前面に押し出されている。

こういったプレイフルなところもクイーンの魅力のひとつです。

6. Breakthru (ブレイクスルー)

  • 作詞作曲: クイーン

その名の通り、突破口を見つけ出そう!というメッセージを持つ楽曲。

かなり速めのテンポと、キャッチーでどこまでも飛んでいきそうな飛距離感のあるメロディが特徴で、それをしっかりと支えるシンセベースが気持ちを前へ前へと押し進めてくれる。

7. Rain Must Fall (レイン・マスト・フォール)

  • 作詞作曲: クイーン

レゲエ寄りのラテンのリズムとポップロックのエッセンスを融合させたユニークなサウンドを持つ楽曲。

太陽の匂いと大地に降り注ぐ雨、人生の困難とその乗り越え方についての楽観的なメッセージを伝えている。
「リラックスして気楽にのんびりやろうぜ」と語りかけて、生きることの喜びを再認識させる。

8. Scandal (スキャンダル)

  • 作詞作曲: クイーン

メディアとの複雑な関係をテーマにした「Scandal」は、バンドが直面した個人的な試練を赤裸々に表現している楽曲。

「ほっといてくれよ」という心情を消化するために書いたようにも思える。
皮肉ったように施されているボーカルエフェクトが、バンドの苦悩を力強く、しかし美しく伝えている。

9. My Baby Does Me (マイ・ベイビー・ダズ・ミー)

  • 作詞作曲: クイーン

リラックスした雰囲気とソフトなメロディが心地よいブルーアイドソウル的な楽曲。

愛する人との穏やかな時間を描いたこの曲は、バンドのもう一つの側面を垣間見せる。
この頃はまだ、ブラックミュージックへの傾倒の名残があったと伺えます。

10. Was It All Worth It (素晴らしきロックン・ロール・ライフ)

  • 作詞作曲: クイーン

バンドのキャリアを振り返り、音楽を通じた苦悩と栄光について問いかける壮大なフィナーレを飾る楽曲で、熱がこもった生き生きとしたサウンドだが、曲構成としてはかなり複雑に組み上げられている大作。

初めて聴いたときは、「ちょっと盛り込みすぎではないか?」「過剰演出過ぎないか?」と感じたが、アルバム全体で聴くとこれくらいの熱気は必要かも知れない。

アルバムの特徴がわかる、レーダーチャート

QUEEN 12枚目のアルバム「The Miracle(ザ・ミラクル)」の特徴を示したレーダーチャート

アルバム・ジャケット

アルバムジャケットのデザイン

  • カバーアート: 『The Miracle - ザ・ミラクル』のアルバムカバーは非常にユニークで、クイーンのメンバー4人の顔を合成して一つの顔に見えるようデザインされています。この斬新なビジュアルは、バンドの団結と一体感を強調しており、アルバムのタイトル「The Miracle」(奇跡)と共に、バンドが音楽を通じて奇跡を起こす力を持っていることを象徴しています。
  • ビジュアルスタイル: アルバムカバーの背景はシンプルで、雲が浮かぶ青空の全面に合成された顔が中心に配置されています。

ジャケットデザインの背景

  • アルバムタイトルとの関連: 『The Miracle』というタイトルは、アルバム制作期間中のバンドの経験や、音楽を通じて達成される「奇跡」への言及です。このアルバムは、フレディ・マーキュリーの健康状態が公になる前の作品であり、バンドメンバー間の強い結束と共に、彼らが直面した困難を乗り越える力を示しています。
  • ジャケットデザイン担当: アルバムのアートワークは、Richard Baker と Richard Grayによってデザインされました。彼はクイーンと長年にわたって協力し、バンドのビジュアルアイデンティティを形成する多くの作品を手掛けてきました。

チャート順位

クイーンのアルバム『The Miracle(ザ・ミラクル)』は、以下のように各国のチャートで成績を収めました。

英国 (UK)

  • チャート最高位: 1位
  • 英国では大成功を収め、チャートのトップに立ちました。

アメリカ (US)

  • チャート最高位: 24位
  • アメリカではBillboard 200で24位にランクインしました。

日本

  • チャート最高位: 23位
  • 日本では良好なチャート成績を収め、クイーンの持続的な人気を示しました。

世間の評価(評論家・ファンの評価)

クイーンのアルバム『The Miracle』は、バンドとしての団結と共同作業の精神を象徴する作品です。特筆すべきは、このアルバムでの作詞作曲が全曲クイーン名義で発表されている点です。これは、以前の作品では個々のメンバーが個別の曲を手掛けることが多かったクイーンにとって、新しい試みでした。

批評家からの評価

評価の多様性: 『The Miracle』は批評家からさまざまな評価を受けました。アルバムが示す団結と、全曲をバンド名義で発表したことに対しては肯定的な意見が多く、バンドが共同で作り上げた結果としての音楽的な深みと多様性が評価されました。しかし、一部の批評家は以前のクイーンの作品と比較してアルバムを評価し、その一貫性の欠如を指摘しました。

ファンからの評価

  • ファンの強い支持: クイーンのファンは、アルバム『The Miracle』を熱烈に支持しています。バンドが全曲を共同で作詞作曲したことによる一体感と、アルバムを通じて感じられるポジティブなエネルギーが特に初期からのファンにしっかり届いています。
  • 特別な意味: アルバムの全曲をクイーン名義で発表したことは、ファンにとってバンドの絆と共同作業の精神を象徴するものとなっており、フレディ・マーキュリーの健康状態が公になる前の作品として、また彼の遺産の一部として、特別な評価を受けています。

アルバム・タイトル

アルバムタイトルの意味

  • 「奇跡」の象徴: アルバムタイトルの「The Miracle」(奇跡)は、フレディ・マーキュリーの健康問題とバンドの未来に対する不確実性の中で、彼らが一丸となってこのアルバムを完成させたこと自体を「奇跡」と捉えています。バンドメンバーは、音楽を通じて困難を乗り越え、再び成功を収めることができたという感覚を共有していました。
  • ポジティブなメッセージ: 同時に、アルバムは希望と再生のテーマを探求しており、タイトルはこのポジティブなメッセージを反映しています。アルバムに収録された楽曲は、愛、友情、そして人生の奇跡について語っており、リスナーに対しても希望を与えることを目的としています。

制作背景

  • 共同作業の精神: 『The Miracle』の制作過程では、バンドメンバー全員が作詞作曲に関わり、すべての曲をクイーン名義で発表するという形をとりました。この決定は、バンド内の団結力と協力の重要性を強調し、アルバム全体の「奇跡」的な成果を象徴するものでした。

クイーン 13枚目のアルバム「The Miracle(ザ・ミラクル)」解説のまとめ

クイーンにとって13作目となるアルバム「The Miracle - ザ・ミラクル」は、彼らのキャリアの中でも特に再結束を意味する作品です。

全曲がクイーン名義で発表されたこのアルバムは、困難な時期を乗り越えて完成された「奇跡」のような存在であり、希望、愛、そして人生の不思議を祝福する内容が特徴です。

『The Miracle』は、批評家から賛否両論のレビューを受けながらも、特に英国で大成功を収め、世界中でファンから熱烈に支持されました。アルバムからは「I Want It All」や「Breakthru」といったヒット曲が生まれ、クイーンのレパートリーに新たな名曲を加えました。

それぞれ、期待を裏切らないバラエティ豊かな楽曲、深いメッセージ性、そしてバンドメンバーの強固な絆が見事に融合された作品として、今なお多くの音楽ファンに愛され続けています。

音楽を愛するすべての人に対する、希望と奇跡のメッセージを伝え続けている「ミラクル」を、ぜひあなたも体験してみてください。

クイーンの全オリジナルアルバムを解説した記事も、音楽ファン必見です。

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