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ロック

クイーン「ザ・ワークス」:11枚目のアルバムを解説。収録曲とレビュー

「The Works QUEEN アルバム解説」と記載したアイキャッチ

1984年、クイーンは音楽シーンにおいて、再び大きな波を起こしました。

彼らの11枚目のオリジナルアルバム『The Works(ザ・ワークス)』がリリースされ、世界中のファンを熱狂させました。
このアルバムは、1980年代のポップカルチャーにおいて、クイーンの復活を告げる作品として位置づけられています。

ここでは、その魅力と特徴を詳しく解説していきます。

QUEEN 11枚目のアルバム「The Works(ザ・ワークス)」概要

販売年月日: 1984年2月27日
収録曲数: 9曲
売上枚数: 全世界で約500万枚を記録
アルバムの特色: ロック、ポップ、ファンク、エレクトロニカといった様々なジャンルを取り入れた多様性に富んだ作品。クイーンが80年代の音楽シーンにおいても革新的な存在であることを示したアルバム。
参加メンバー: Freddie Mercury (フレディ・マーキュリー), Brian May (ブライアン・メイ), Roger Taylor (ロジャー・テイラー), John Deacon (ジョン・ディーコン)
プロデューサー: Queen, Reinhold Mack
エンジニア: Mack、Mike Beiriger、George Marino(マスタリング)
収録スタジオ: Musicland Studios (ミュンヘン, ドイツ)、Record Plant Studios (ロサンゼルス, アメリカ)
特別エディション: 2011年にリマスター版がリリースされ、ボーナストラックが追加された。

収録曲:解説とレビュー

1. Radio Ga Ga (レディオ・ガ・ガ)

  • 作詞作曲: Roger Taylor

オープニングトラック「Radio Ga Ga」は、1980年代のアンセムとして広く認知されています。

みんなが夢中だったラジオの魔法と、その時代における重要性を讃えています。
「知りたいことはすべてラジオが教えてくれたんだ」と。

シンセサイザーを大胆に駆使したサウンドとキャッチーなコーラスは、聴く者の心をつかみ、多くのファンに愛されています。
サブスクで膨大な数の音楽がいつでも聴けるようになった現代と、ラジオから流れてくる貴重な1曲を食い入るように聴き入っていた時代、どちらが幸せなのかはわかりませんね。

2. Tear It Up (ティア・イット・アップ)

  • 作詞作曲: Brian May

「Tear It Up」は、真のロックンロールスピリットを体現した楽曲で、ライブでのエネルギーと観客との一体感を思い起こさせます。

極限まで贅肉を削ぎ落としたような、シンプルながらも痛快なギターリフと、メンバー全員の勢いと熱の塊を一点集中させたリズムが、バンドとしての結束をギュッと凝縮して魅せているいるかのようです。

3. It's a Hard Life (永遠の誓い)

  • 作詞作曲: Freddie Mercury

Freddie Mercuryが作詞作曲を手掛けた「It's a Hard Life」は、人生の苦悩と愛の葛藤を描いたバラードです。

切なさと力強さの共存を感じる歌詞を、ひとことひとこと語りかけられている気になります。
クラシカルなオペラ風のアプローチが取り入れられており、曲が進行するにつれてドラマチックさを増していく展開はクイーンならでは。

4. Man on the Prowl (マン・オン・ザ・プラウル)

  • 作詞作曲: Freddie Mercury

ハートフルでソフトなロカビリースタイルに影響を受けた明るく楽しいトラックです。

50'sのポップミュージックへのオマージュとして、軽やかに踊るピアノとアップテンポなリズムが特徴的で、思わず身体がツイストしちゃいそう!

5. Machines (Or 'Back to Humans') (マシーン・ワールド)

  • 作詞作曲: Brian May, Roger Taylor

テクノロジーと人間性の対立をテーマにした楽曲です。

このピコピコなエレクトロニックサウンドも一周回って温かみさえ感じます。
レコーディングの技術やあらゆる楽器のデジタル化という変化は、従来のアナログ技術との「優劣」で語ることができない面白みがあります。

6. I Want to Break Free (ブレイク・フリー(自由への旅立ち))

  • 作詞作曲: John Deacon

自由を求める強いメッセージが込められています。

この曲は、特にそのミュージックビデオでのドラッグクイーン(女装)に扮したメンバーの姿や、シンセを全面的に押し出した間奏部分など、1980年代のポップシーンにおいても人々の記憶に強烈に残る良い意味での「アクの強さ」を持っています。

7. Keep Passing the Open Windows (愛こそすべて)

  • 作詞作曲: Freddie Mercury

前向きなメッセージで、人生の困難に直面しても前を向き続けることの大切さを歌っており、Mercuryの深い人間理解を感じさせる一曲です。

豊かなメロディラインと、力強いコーラスが組み合わさり『The Works』の中でも根強い人気を誇る一曲。
途中で倍テン(ダブルタイム)になるアレンジも、無理矢理感が全くなくて気持ちいい。

8. Hammer to Fall (ハマー・トゥ・フォール)

  • 作詞作曲: Brian May

クイーンの伝統的なロックスタイルに回帰した楽曲で、初っ端からいかにも英国のギタリストが刻むギターリフ!っていう感じで始まります。

冷戦時代の緊張と核の脅威をテーマにしており、「キング・オブ・ロック」のクイーンが演るからこそ、国境や人種や世代を超えて、全人類が客観的に冷静に問題を直視する機会を与えてくれるように思います。

9. Is This the World We Created...? (悲しい世界)

  • 作詞作曲: Freddie Mercury, Brian May

アルバムの締めくくりを飾る、Freddie MercuryとBrian Mayが共作したアコースティックバラードです。

この曲は、世界の不平等と貧困問題に光を当てています。
歌とアコギで一発撮りの空気感が素晴らしい。

最小編成だからこその説得力を持ち、聴き終えたあとの余韻も深く残してくれます。

アルバムの特徴がわかる、レーダーチャート

QUEEN 11枚目のアルバム「The Works(ザ・ワークス)」の特徴を示したレーダーチャート

アルバム・ジャケット

アルバムジャケットのデザイン

  • カバーアート: Bill Smith氏によるデザインの『The Works』のアルバムカバーは、シンプルながらも強いインパクトを持つデザインです。カバーには、クイーンのメンバーが床に座っているセピア写真が使用されています。メンバーそれぞれの表情がはっきりと写されており、背後に大きく浮かび上がる影との視覚的コントラストを強調しているようです。
  • ビジュアルスタイル: アルバムタイトル『The Works』は、メンバーの写真の上部に配置されており、全て大文字のクリアなフォントで表示されています。アルバムのビジュアルスタイルは、バンドがこの時期に見せた音楽的な再生と活気を象徴しています。

チャート順位

クイーンのスタジオアルバム『The Works』は、以下のように各国のチャートで成績を収めました。

英国 (UK)

  • チャート最高位: 2位
  • 英国では非常に高いチャート位置に到達し、クイーンの故郷での強い人気を証明しました。

アメリカ (US)

  • チャート最高位: 23位
  • アメリカではトップ20には届かなかったものの、依然として健闘しました。

日本

  • チャート最高位: 7位
  • 日本では良好なチャート成績を収め、クイーンのアルバムが日本のファンからも引き続き支持されていることを示しています。

『The Works』は、クイーンが80年代の音楽シーンにおいても変わらぬ影響力を持ち続けていることを示すアルバムであり、特に「Radio Ga Ga」や「I Want to Break Free」といったヒットシングルを含むことで、世界中で広く認知されました。アルバムは、商業的には英国で特に成功を収め、アメリカや日本を含む他の市場でも強いパフォーマンスを見せています。

世間の評価(評論家・ファンの評価)

『The Works - ザ・ワークス』に対する世間の評価は、リリース時から現在に至るまで、批評家とファンの両方から幅広い反応を得ています。1984年のリリース当初、このアルバムはクイーンが前作『Hot Space』で示した音楽スタイルからの一部回帰を見せる形となり、ロック要素を再び前面に押し出した作品として注目を集めました。

批評家からの評価

  • ポジティブなレビュー: 多くの音楽評論家は『The Works』のロック指向のトラックを高く評価しました。「Radio Ga Ga」や「I Want to Break Free」などのシングルは特に好評で、クイーンの商業的復活を牽引しました。アルバムの多様性とバランスの取れたサウンドが評価され、クイーンが依然として革新的な音楽を作り出していることを証明しました。
  • 賛否両論: 一方で、一部の批評家は『Hot Space』での音楽的実験からの「回帰」を物足りないと感じ、バンドがやや安全な選択をしたと指摘する声もありました。しかし、これらの批判は全体の評価に影響を与えるほどではありませんでした。

ファンからの評価

  • ファンの支持: クイーンのファンは一般的に『The Works』を歓迎し、特に「Radio Ga Ga」や「I Want to Break Free」といったヒット曲を含むアルバムのエネルギッシュなサウンドを称賛しました。これらの曲はライブパフォーマンスでも中心的な役割を果たし、ファンにとってのお気に入りとなりました。
  • 長期的な評価: 時間が経つにつれて、『The Works』はクイーンのディスコグラフィーの中で重要な地位を確立しました。一部のリスナーは当初、アルバムのスタイルに対して懐疑的でしたが、多くのファンはこのアルバムをバンドの強みと多様性を示す作品として高く評価しています。

総合的な視点

『The Works』は、クイーンのキャリアの中で重要な転換点となり、批評家とファンの両方からの評価を受けています。アルバムは、バンドが80年代の音楽シーンにおいてもこれまでのクイーンの音楽ファンを納得させた上で、多様な作品を作り出す能力を持っていることを証明し、多くの象徴的な曲を生み出しました。

アルバム・タイトル

このアルバムタイトルは、バンドがアルバム制作において「クイーンらしさ」を取り戻す音楽的アプローチを行ったこと、また彼らの音楽的な「作品集」を意味するとも解釈されています。

洋題:『The Works』

  • 意味: "The Works"というフレーズは、英語で「全てが含まれていること」を意味する表現として一般的に使われます。問題作とされた前作の経験や反省?をもとに「俺たちの仕事に戻ったぞ!」との意思表明とも取れます。
  • 背景: 『The Works』のリリースは、クイーンが再びチャートのトップに返り咲いた時期にあたります。このタイトルは、バンドが自身の音楽的なアイデンティティと、ファンから期待されるタイプの音楽作品を提供するという決意を表していると言えるでしょう。

クイーン 11枚目のアルバム「The Works(ザ・ワークス)」解説のまとめ

『The Works』は、クイーンが1984年にリリースした11枚目のスタジオアルバムで、1980年代の音楽シーンにおける彼らの多面性と社会への問題提起を見事に示した作品です。

このアルバムは、クイーンが前作『Hot Space』で探求したディスコやファンクの要素から一歩戻り、よりロックに根差したサウンドに焦点を当てつつも、ポップ、エレクトロニック、バラードといった多様なジャンルを包括しました。

アルバムからのシングル「Radio Ga Ga」、「I Want to Break Free」、「It's a Hard Life」、そして「Hammer to Fall」は、それぞれが異なる音楽的アプローチを採用しつつ、クイーンの持つ広範な才能と彼らが音楽を通じて伝えたいメッセージの深さを反映しています。

特に「Radio Ga Ga」と「I Want to Break Free」のミュージックビデオは、1980年代のMTV文化におけるアイコニックな作品となり、バンドのビジュアル表現における創造性も際立たせました。

『The Works』はまた、社会的、政治的テーマを掘り下げた楽曲も含んでおり、特にアルバムの締めくけを飾る「Is This the World We Created...?」は、世界の貧困や不公平に対する深い洞察を提供し、リスナーに強い印象を残しました。この曲は、クイーンがただのエンターテイメントを超えたアーティストであること、そして表現者であることを改めて示しています。

商業的にも、『The Works』は世界中で成功を収め、特にヨーロッパや日本で高い評価を受けました。
個人的にも、バンドとしての落ち着きや余裕すら感じられて、安心して身を委ねられる1枚です。

チャートでの成功はもちろん、アルバムはクイーンのライブパフォーマンスにおける新たなレパートリーを提供し、特に1985年のライブエイドでの伝説的なパフォーマンスにおいて、その曲たちは不朽の名演となりました。

結論として、『The Works』はクイーンのディスコグラフィの中でも「クイーン節が復活」という印象を持たれているアルバムであり、1980年代の音楽史においても重要な意味合いを残しました。

80'sを象徴するエレクトリックな質感の少しざらついたサウンド、社会に対する鋭いメッセージ、そして音楽とビジュアルアートの融合は、クイーンがミュージシャンの枠を越えた真の表現者・アーティストであることを証明する、時代を超えた名作です。

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